さまざまな効果が期待される身体の整え方の1つとして、注目のファスティング。世間で紹介されている日数や、やり方別に期待される効果をまとめました。
ファスティングの効果
ファスティングは、胃腸をはじめとした内臓が消化・吸収活動をせず休まることで、老廃物や毒素を排泄する働きが強化されるといわれています。そのため、デトックス効果や腸内環境を整える効果を期待して実施されることが多い、身体の整え方です。また、腸内環境が整うことで、免疫力の向上や肌荒れの改善効果なども期待されます。
ここでは、ファスティングで得られるとされる、さまざまな効果をご紹介します。
デトックス効果で腸内環境が整う
老廃物や毒素を排泄する働きが強まり、腸内環境が整うといわれています。
ファスティング中、消化吸収に使われていたエネルギーは、体の修復や疲労回復などに回されると考えられています。その一環として、体内に滞っていた便や不要なものを排出する働きが活発になり、腸内環境が整うと考えられます。
また、絶食などによる栄養飢餓状態で起きるオートファジーには、栄養源のリサイクルや細胞内で過剰なもの、有害なものを分解する機能をもっているといわれています。(1
免疫力アップ
ファスティングによって腸内環境が整うと、善玉菌の働きが活発になるといわれています。
整った環境内にいる、善玉菌体を構成する物質には、体の免疫機能を高め、血清コレステロールを低下させる効果も報告されています。2)
肌荒れの改善
ファスティング中は、ニキビや吹き出物などお肌のトラブルの原因になる有害物質や老廃物を排出する働きが強まるといわれています。
こうしたお肌のトラブルの原因が減ることで、肌荒れの改善につながるとされています。内臓の調子を整えることは、美肌を手に入るためにも重要なことといわれています。
日数別・方法別の効果は?
実施日数さまざま!
ファスティング(fasting)とは
ファスティングとは、一定の期間食べ物を断つ行為です。多くは、固形の食べ物を半日~数日間摂取しないことを指します。そのため、実施日数が違う方法や、特定の食べ物や栄養成分を摂るファスティングがあります。その日数、方法ごとに期待される効果を解説します。
こちらもCHECK
-
-
ファスティングとは?| 基礎知識からやり方まで紹介
最近注目されている、ファスティングをご存じですか。さまざまな効果が期待される身体の整え方の1つです。ファスティングの基礎からやり方までご紹介いたします。
続きを見る
短期間ファスティング
(16時間・1日・2日・朝だけ・プチ断食など)
短期間のファスティングは、前述どおりの効果「デトックス効果で腸内環境が整う」、「免疫力アップ」、「肌荒れの改善」が想定されています。食事時間を決めて一定の空腹時間をつくるファスティング方法、インターミッテント・ファスティングも含まれます。
胃腸をはじめとした内臓を一定時間、消化・吸収活動せずに休めることで、老廃物や毒素を排泄する働きが強化されるといわれていることから効果が期待されています。
こちらもCHECK
-
-
16時間ファスティングとは?|やり方から効果まで
最近注目されている、断食を取り入れた身体の整え方の1つ、ファスティングをご存じですか。中でも人気を集めているのは、3食食べて行う16時間ファスティングです。このページでは、16時間ファスティングのやり方や効果をご紹介いたします。
続きを見る
3日以上のファスティング
(3日・4日・5日・1週間以上)
概ね3日以上実施する、いわゆる長期間のファスティングは、身体が本格的に脂肪を分解してエネルギーに変える糖新生(とうしんせい)を行うようになるといわれています。
私たちの身体は、生命維持活動時に足りないたんぱく質などの栄養素を、自らの細胞を分解することによって得る機能をもっています。絶食時に、肝臓は生命を維持するために「オートファジー」と呼ばれる機能が活発に働くことが分かっています。(3
そのため、36時間から48時間の間は血液中や筋肉中などのグリコーゲンが分解され、グルコースの枯渇を補うので、すぐにエネルギー切れとはなりません。この後、脂肪を分解してエネルギーに変えていきます。このタイミングで脂肪の燃焼が本格的に始まるのです。このため、ダイエットとして、脂肪燃焼を目的にファスティングを行う人は、3日以上のファスティングを実施する方が多いのです。
ただし、いきなり長期間のファスティングに挑戦するとかえって体調を崩す恐れがあります。長期間のファスティングを実施する際は、医師や専門家に相談するようにしてください。
やり方の違うファスティングごとの効果
ファスティング中は、固形の食べ物を食べません。
そのため、飲料や流動食の形状で栄養を摂取する方法があります。また、特定の食べ物や栄養成分をとるファスティング方法が存在します。代表的なものがお粥ファスティング 、味噌汁ファスティング、プロテインファスティング、ヨーグルトファスティングなどです。
このほかにも、ファスティング中に補給したいとされる、たんぱく質や食物繊維が摂れる飲み物や、腸内環境を整えることをサポートするために発酵食品などを使う方法があります。こまめな水分補給も重要なため、一緒に栄養も摂れるさまざまドリンクも販売されています。
こちらもCHECK
-
-
ファスティングのやり方とは?|16時間・食べ物
最近注目されている、ファスティングをご存じですか。さまざまな効果が期待される身体の整え方の1つとして、やり方や使用する食べ物をご紹介いたします。
続きを見る
ファスティングは効果がない?
体重は減る?減らない?
ファスティングをダイエット目的ではじめたけれど、痩せない、体重が落ちないからやめてしまったという方もおられるのではないでしょうか?ファスティングは消化器官や臓器を整えることで自律神経が整うことや、内臓や細胞の排出機能が高まることで、ダイエットを促進する効果が期待できるとされています。
しかし、絶食時間中は、体内の栄養素が分解されます。その際、筋肉も分解対象となってしまうため、筋トレが必須とされています。筋肉量が落ちると、エネルギーを消費しにくい体質、つまり体重を落としにくい体質になってしまうともいわれています。(4
適度な筋トレをしっかり実施することがポイントといえます。老廃物の排出を助けるためにも、腸のぜんどう運動を促す運動を取り入れると効果的です。腸の周囲の筋肉を鍛えるスクワットなどは比較的簡単です。ただし、過度なトレーニングは避けてください。
生理中に行うと効果なし?
生理中は、痛みがある方や体調を崩す方もおられます。この期間のファスティングは、体調に影響が出ることがあるので、避ける方が良いとされています。妊娠中の方も同様の理由で控えるようにしてください。
また、生理中の不快感の軽減には、体温を上げることで効果があるとされています。食事を食べることで、体温を上げることができますが、ファスティング期間は、食事をしません。この点からも悪い影響を与える可能性があります。
規則正しくバランスのよい食生活を送る
ファスティングは、内臓を休めることで身体の排出機能の強化などからメリットを得る、身体の整え方の1つです。現在も研究が進められている方法ですので、実施される場合にはご自身の体調と十分に相談することが必要です。
規則正しくバランスのよい食生活を送ることが軽やかで健やかな毎日を維持するための基本です。カロリーの高い食生活や暴飲暴食をリセットするところからはじめてみてください。
参考
(1オートファジー始動装置の構築メカニズムを解明東京工業大学ニュースhttps://www.titech.ac.jp/news/2016/035717
(2腸内細菌と健康 厚生労働省e-ヘルスネット
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-003.html
(3オートファジー-ノーベル賞を受賞した大隅栄誉教授の研究とはhttps://www.titech.ac.jp/news/2016/036467
(4加齢とエネルギー代謝
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/exercise/s-02-004.html