最近注目されている、ファスティングをご存じですか。さまざまな効果が期待される身体の整え方の1つとして、やり方や使用する食べ物をご紹介いたします。
ファスティングとは
ファスティングとは、一定の期間食べ物を断つ行為です。多くは、固形の食べ物を半日~数日間摂取しないことを指します。
ファスティング(fasting)とは、英語のfastという動詞(断食する、絶食をする)の名詞形で「断食」「絶食」を意味し、古くから宗教的な行為として行われてきました。
最近では体調管理や体内のデトックス、腸活や妊活を目的に実施する人も増えており、身体の整え方の1つとして注目されています。
目的は胃腸などの消化・吸収を行う器官を休めることです。消化・吸収に使うエネルギーを抑え、体の疲労回復などに回すことで、内臓が元気を取り戻すと考えられています。
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やり方とは
ファスティングは固形の食べ物を半日~数日間摂取しません。そのため、一定期間以上のファスティングには、準備期間、断食期間、回復期間があり、すべての期間ごとに正しいやり方があります。ここでは、期間ごとにファスティングの方法を紹介します。
ただし、ファスティングは現在も研究が進められている分野です。体力に自信のない方、体調が良くない方はもちろん、摂食障害をお持ちの方、過去に病歴のある方も行わないようにしてください。
また、服薬中で決まった時間に食事をとる必要のある方も実施をしないようにしてください。女性の場合は、妊娠・生理中なども控えるようにしてください。
16時間ファスティング
一日のうち食事をしてもよい時間を8時間程度以内に設定し、残りの16時間は食事をとらないという、ファスティング方法です。8時間程度以内に、朝食・昼食・夕食の3回の食事時間を決めて、リズムよく食べるようにします。
私たちの身体は、生命維持活動時に足りないたんぱく質などの栄養素を自らの細胞を分解することによって得る機能をもっています。絶食時には、肝臓では生命を維持するためにこうしたオートファジーと呼ばれる機能が活発に働くことが分かっています。このような機能などから着想を得たファスティング方法といわれています。1)
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16時間ファスティングとは?|やり方から効果まで
最近注目されている、断食を取り入れた身体の整え方の1つ、ファスティングをご存じですか。中でも人気を集めているのは、3食食べて行う16時間ファスティングです。このページでは、16時間ファスティングのやり方や効果をご紹介いたします。
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食事の時間を決める
まずは、一日のうち食事をしてもよい時間を8時間程度以内に設定します。食事時間は自由なので、空腹が辛い時間を睡眠時間に当たるようにすることもできます。
8時間程度以内に、朝食・昼食・夕食の3回の食事時間を決めて、リズムよく食べます。
生活のリズムと合わない場合などは無理をせず、食事をしてもよい時間を12時間に伸ばすなど、取り入れやすい方法を試します。
食事可能時間は自由に選択できますが、時間栄養学の観点では、朝食は身体が目覚めるために重要な存在とされています。また、体内リズムを整える観点からも、3食の時間をそれぞれ設定し、継続することが大切です。(2
筋トレなど運動をする
食事をとらない時間は、タンパク質をはじめ、身体の維持に必要な栄養素は体内にあるものが使用されます。そのため、筋肉量などが低下しやすくなります。適度な筋トレなど運動に取り組むのがやり方です。
また、老廃物の排出を助けるためにも、腸のぜんどう運動を促す運動を取り入れると効果的です。腸の周囲の筋肉を鍛えるスクワットなどは比較的簡単です。ただし、過度なトレーニングは避けてください。
飲み物を摂取する
食事をしない時間の水分補給も忘れずに行います。その際、消化・吸収が必要となる市販のスムージーをはじめとした糖分添加のドリンクは控えます。
その他
このほかにも、半日、1日、3日~10日、2週間までさまざまな期間のファスティングのやり方があります。一定期間以上のファスティングには、準備期間、断食期間、回復期間があり、すべての期間ごとにやり方があります。
また、朝食ファスティングや週末や週1回のみのファスティング方法なども存在します。
ファスティング中の食べ物
ファスティング中に摂取する食べ物を紹介します。準備期間、断食期間、回復期間の期間ごとに摂取に適した食べ物は違います。
ただしこの効果は、あくまでも適正なカロリーを守ったバランスの良い食事を決まった時間に食べることを守る必要があります。
味噌汁
断食期間や準備期間に摂取する食べ物として、具なしのみそ汁を使用する方法です。断食期には、体内のたんぱく質が使用されるため、大豆を使用した味噌汁を摂取します。
白味噌や甘味噌など糖質の多いものは避けましょう。赤味噌や豆味噌など、味にコクもあるものを使用すると満腹感も感じやすくなります。
おかゆ
回復期間におかゆを使用する方法です。消化によく、胃腸に負担をかけずに消化吸収できるおかゆを摂取します。
一気に普通食に戻し、食べ過ぎることなく、ゆっくりと胃腸を起動させやすくします。
効果
ファスティングは、胃腸をはじめとした内臓が消化・吸収活動をせず休まることで、老廃物や毒素を排泄する働きが強化されるといわれています。そのため「デトックス効果や腸内環境を整える効果を期待して実施されることが多い」身体の整え方です。
腸内環境が整うことから腸活と同じ効果も期待できるため、腸活の1つとして取り組む人も。共通する効果は、免疫力の向上や肌荒れの改善などが挙げられています。また、睡眠に作用する「セロトニン」などのホルモンの分泌にも良い影響を与えるとされています。
ファスティングで得られるとされる、さまざまな効果をご紹介します。
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デトックス効果で腸内環境が整う
老廃物や毒素を排泄する働きが強まり、腸内環境が整うといわれています。
ファスティング中、消化吸収に使われていたエネルギーは、体の修復や疲労回復などに回されると考えられています。その一環として、体内に滞っていた便や不要なものを排出する働きが活発になり、腸内環境が整うと考えられます。
また、絶食などによる栄養飢餓状態で起きるオートファジーには、栄養源のリサイクルや細胞内で過剰なもの、有害なものを分解する機能をもっているといわれています。(3
免疫力アップ
ファスティングによって腸内環境が整うと、善玉菌の働きが活発になるといわれています。
整った環境内にいる、善玉菌体を構成する物質には、体の免疫機能を高め、血清コレステロールを低下させる効果も報告されています。4)
肌荒れの改善
ファスティング中は、ニキビや吹き出物などお肌のトラブルの原因になる有害物質や老廃物を排出する働きが強まるといわれています。
こうしたお肌のトラブルの原因が減ることで、肌荒れの改善につながるとされています。内臓の調子を整えることは、美肌を手に入るためにも重要なことといわれています。
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規則正しくバランスのよい食生活を送る
ファスティングは、内臓を休めることで身体の排出機能の強化などからメリットを得る、身体の整え方の1つです。現在も研究が進められている方法ですので、ご自身の体調と相談の上実施ください。
ファスティングを健やかな毎日を維持するための一助として取り入れてみてください。
参考
(1オートファジー-ノーベル賞を受賞した大隅栄誉教授の研究とは
https://www.titech.ac.jp/news/2016/036467
(2食品・栄養成分と生体概日リズムの相互作用に関する研究 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構/食品総合研究所 主任研究員 大池 秀明
https://www.jsbba.or.jp/wp-content/uploads/file/award/2016/award_2016_oike.pdf
(3オートファジー始動装置の構築メカニズムを解明東京工業大学ニュース
https://www.titech.ac.jp/news/2016/035717
(4腸内細菌と健康 厚生労働省e-ヘルスネット
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-003.html