睡眠障害や慢性的な睡眠不足は、生活習慣病のリスクに大きく関わっています。今回は「生活習慣病と睡眠の関係性」や「快眠のコツ」について紹介します。
睡眠以外の生活習慣病予防についても簡単にまとめていますので、ぜひご覧ください。
生活習慣病と睡眠の関係性とは
睡眠には「疲労回復」や「記憶の固定」など、私たちが生活する上で重要な役割があります。
その反面、質の悪い睡眠を続けると「生活習慣病のリスク向上」や「症状の悪化」を引き起こすことが分かっています。(1
ここからは、生活習慣病と睡眠の関係について「睡眠習慣」と「睡眠障害」の2つに分けて紹介します。生活習慣病については、以下の記事で詳しく紹介していますのでぜひご覧ください。
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睡眠習慣による生活習慣病(1
みなさんは毎日十分な睡眠時間を確保できていますか?慢性的な睡眠不足は、以下のような症状や生活習慣病を引き起こす要因になります。
睡眠不足でみられる主な症状
- 日中の眠気
- 意欲低下
- 記憶力減退
睡眠不足が影響する生活習慣病
- 肥満
- 糖尿病
- 高血圧
- 脂質異常症
他にも体内のホルモンバランスや自律神経のバランスに影響を及ぼすことが知られています。
たとえば、「寝不足(4時間睡眠)が2日間続くと、ホルモン分泌の影響で食欲が増大する」ことが分かっています。睡眠不足と食欲増大のメカニズムは以下の通りです。
睡眠不足と食欲増大のメカニズム
- 寝不足が続く
- レプチン(食欲を抑えるホルモン)の分泌が減少する
- グレリン(食欲を高めるホルモン)の分泌が増加する
- 食欲が増大する
睡眠不足は、交感神経が優位になることで高血圧や、インスリンの働きを悪くして糖尿病のリスクを高めることにつながりますので、注意しましょう。
睡眠障害による生活習慣病(1
睡眠障害も生活習慣病に大きく関わっています。「睡眠時無呼吸症候群」と「不眠症」の2つの睡眠障害と生活習慣病のリスクについて表にまとめました。
睡眠時無呼吸症候群(2 | 不眠症(3 | |
症状 | 睡眠中に何度も呼吸が止まる | 寝つきが悪い
何度も目がさめる 眠りが浅い |
状態 | 低酸素血症と交換神経の緊張
酸化ストレスや炎症 代謝異常(レプチン抵抗性・インスリン抵抗性) |
交感神経の緊張
糖質コルチコイド(血糖を上昇させる)の過剰分泌 睡眠時間の短縮 |
リスクの高い生活習慣病 | 高血圧
心不全 虚血性心疾患 脳血管障害 |
糖尿病 |
睡眠障害は生活習慣病のリスクや悪化につながります。紹介したような症状が続くようであれば、病院で相談するのがよいでしょう。
睡眠で生活習慣病を予防する方法
睡眠習慣の乱れにより、生活習慣病のリスクが高まります。以下の2つを意識して睡眠習慣を正すことでリスク軽減につなげましょう。
ポイント
- 睡眠時間をしっかり確保する
- 睡眠の質を高める
「ぐっすり眠れた、目覚めがよい」と感じる「睡眠時間」や「睡眠の質」を目指しましょう。
睡眠時間をしっかり確保する
「睡眠習慣による生活習慣病」で紹介した通り、慢性的な睡眠不足は生活習慣病のリスクを高めます。
厚生労働省が実施した「令和元年 国民健康・栄養調査」では、平均睡眠時間は6時間以上7時間未満と答えた割合が男女とも30%を超えて一番多い結果でした。ただし、6時間未満と答えた割合も男女ともに40%近くありました。
適切な睡眠時間は人によって異なりますが、忙しくてもしっかりと休息をとるようにしましょう。
睡眠の質を高める
質の良い睡眠は、「睡眠の深さ」が重要です。睡眠中は「眠りの深いノンレム睡眠」と「眠りの浅いレム睡眠」を約90分周期で交互に繰り返します。
レム睡眠時に目が覚めるとすっきり起きられます。他にも、以下で紹介する快眠のコツを取り入れてみてください。
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快眠のコツ5選
年齢やその時の体調によっても睡眠の質は低下してしまいます。少しでも質のよい睡眠をとるためのコツを以下5つ紹介します。
快眠のコツ
- 就寝時間と起床時間を決めて規則正しく眠る
- 就寝環境を整える
- 運動する習慣を身につける
- 湯船につかって入浴する
- 朝食をきちんと食べる
就寝時間と起床時間を決めて規則正しく眠る
体内時計を整えると、自然と体がホルモンの分泌や体温などを調整し、睡眠に備えてくれます。また、起床直後の朝の光は体内時計を整える助けになります。
就寝環境を整える
快適な眠りに適した寝具内の環境は、33℃前後、湿度は50%前後とされています。湿度や温度を保つことができ、体に負担の少ない姿勢を保てる寝具がおすすめです。
運動する習慣を身につける
夕方から就寝の3時間程度前を目安に運動する習慣を身につけましょう。速足の散歩や軽いランニングなど、適度な有酸素運動がおすすめです。
湯船につかって入浴する
就寝の2~3時間前に湯船につかって、体温を上げましょう。眠気は体温の低下時に訪れるといわれています。体に負担のないよう、体調や好みの入浴方法を選びましょう。
朝食をきちんと食べる
朝食は簡単なもので良いので、きちんと摂りましょう。脳のエネルギー源として糖分を補給しましょう。朝食以外も、規則正しく食べて体内時計を整えましょう。
睡眠以外で生活習慣病を予防する4つの習慣
生活習慣病は睡眠習慣だけが原因ではありません。睡眠以外にも以下の4つの習慣に気を付けて生活してくださいね。
4つの習慣
- バランスのよい食事をとる
- 適度な飲酒を心がける
- 適度な運動をする
- 禁煙する
食事や運動など、どれも健康に過ごすためには必要です。今の生活を振り返り、より良い習慣を取り入れましょう。
バランスのよい食事をとる
生活習慣病を予防・改善するには、毎日の食事を見直すこともおすすめです。ついつい忙しいからとコンビニご飯や甘いおやつなど食べていませんか?
大事なことは「主食」「主菜」「副菜」「汁物」を組み合わせたバランスの良い食生活です。以下の記事では食事のポイントについてご紹介しています。
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適度な飲酒を心がける
飲酒は適度な量を守りましょう。アルコールの過剰摂取は、脂質異常症や脂肪肝、高血圧、高尿酸血症などを引き起こす要因になります。
厚生労働省が公表している「健康日本21」では、適度な飲酒として1日平均純アルコールで約20g程度を目安としています。アルコール度数5%のビールなら中瓶1本500ml、日本酒であれば1合180ml程度です。飲酒の際の目安にしてください。
以下の記事で「生活習慣病と飲酒と関係」について詳しく紹介しています。
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適度な運動をする
適度な運動をすることで「肥満・糖尿病・脂質異常症・高血圧症・骨粗しょう症」の予防や改善が期待できます。
1週間の運動の目安としては、「ラジオ体操・ウォーキングなら60分」「ジョギングなら40分」が目安となります。以下の記事で詳しく紹介していますので、ぜひご覧ください。
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禁煙する
禁煙しましょう。禁煙するのに遅すぎることはありません。たばこを原因とする健康障害は、大腸がんや肺がん、慢性気管支炎、糖尿病、歯周病などさまざまな病気があります。
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睡眠から生活習慣病を予防しよう
睡眠習慣の乱れや睡眠障害は、「肥満」や「高血圧」、「糖尿病」など生活習慣病のリスクを高めることや悪化につながります。
睡眠時間・睡眠の質を意識して健康に過ごしましょう。
参考
(1 睡眠と生活習慣病との深い関係 e-ヘルスネット
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-02-008.html
(2睡眠時無呼吸症候群 / SAS e-ヘルスネット
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/heart/yk-026.html
(3不眠症 e-ヘルスネット
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/heart/yk-083.html